近年、地球温暖化に関してたくさん取り上げられているのは周知のとおりですよね。
各国・機関投資家が脱炭素目標を宣言し、企業も脱炭素経営が求められる時代になっています。
それを受けて最近では、東京証券取引所ではカーボンクレジット市場を開始したり、プライム市場においてはTCFDに基づく情報公開の義務付けが開始されました!
さて、今回はこのTCFDとはなんぞや?🤨
という疑問に関して、学んだことを書いていきます🔥
よろしくお願いします(^O^)/
世界経済フォーラム(WFF)が以下のような環境リスクを挙げています。
このリスクを聞いて、
「あなたの会社ではこのリスクをどう捉え、どのような体制で検討し、企業経営に反映していますか?」
「このリスクはあなたの企業にとって影響度はどれくらい?」
「このリスクに関して、どのような指標を用いて判断して、目標を立ててる?進捗度合は??」
に答えられますか?
つまり、TCFDとは、
気候変動によるリスク・機会をどのような指標を用いて、どのように捉え、どうしていくかを企業の方から積極的に開示してください!
というものです!!
もちろん、リスクだけでなくESG経営移行による「機会」に対してもどう捉えているかを開示します!
例えば、炭素価格などが機会の一つに挙げられると思います🧐✨
具体的には以下4つの開示要求項目があります!
ガバナンス(Governance):どのような体制で検討し、それを企業経営に反映しているか。
戦略(Strategy):短期・中期・長期にわたり、企業経営にどのように影響を与えるか。またそれについてどう考えたか。
リスクマネジメント(Risk Management):気候変動のリスクについて、どのように特定、評価し、またそれを低減しようとしているか。
指標と目標(Metrics and Targets):リスクと機会の評価について、どのような指標を用いて判断し、目標への進捗度を評価しているか
そして下記は、それぞれの項目において推奨される開示内容を示しています!
TCFDでは、経営陣(企業の上層部)をいかに巻き込んで取り組んでいるかを重要視しています。気候関連のリスクや機会をしっかりと経営戦略に反映させるためです!
・取締役会にはどのようなプロセスや頻度で気候関連の課題が報告されてい
るか
・経営者がどのように気候関連課題をモニターしているか
等を記載する必要があります!
リスクと機会が事業・戦略・財務に及ぼす影響を分析し、考慮したうえでの組織戦略の強靭性の開示を求めています。ここがもっとも重要視されている項目、かつ現時点でもなかなか開示出来ている企業が少ない項目です。
・短・中・長期において重大な財務影響を及ぼす具体的な気候関連の課題は何か
・組織に対する実際の財務的影響はどれくらいか
・気温上昇が2度・4度だった場合のリスクと機会は何か
また、それに対処する経営戦略はどうする?
・低炭素経済への移行に関する計画はどうなっている?
等を記載します!
気候関連のリスクに対して組織がどのように選別・管理・評価しているかという、結果だけでなく評価プロセスも開示することが求められています。
・他のリスクと比較した気候関連リスクの相対的重要性は?
(A:大 B:中 C:小)
・気候関連リスクの優先順位付けはどのように行った?
等を記載します!
気候関連のリスク及び機会を評価・管理する際に使用する指標や、GHG排出量等の目標や実績の開示が求められています。
・気候関連リスクと機会を測定・管理するために用いる指標
・GHG排出量(Scope1/2/3)
・気候関連の目標
等を記載します
上記のように非常に細かく、開示要求がされています、、、。
これだけ見ると、すごい難問を投げつけられている感じがしますよね💦
全く答えられそうにないです、、、😓
今後は、気候変動会計士?という新しい職が誕生するかもしれませんね😄
印刷業界で考えると、水や自然資本の持続可能な利用・管理、ジェンダーの多様性などが
“リスク” の一つとして考えられます!
これらは上記の表には書かれていませんが、投資家から非常に注目を集めている項目です!!!!
とくに “水” のリスクに関しては深刻な問題です。
例えば、
紙の生産においては、
紙1tあたり50tもの水を使用するそうです Σ(゚Д゚)💦
また、
素材の生産段階だけでなく、オフセット印刷機や捺染なっせんのように印刷段階でも水を使用します。最近はデジタル印刷機等、印刷時に水を使わない物もありますが、大型機械になると印刷機を冷やすために水を使用しなくてはなりません!
この水をどうやって確保するのか、、、。
確かに、製紙における水の量は“印刷業界”とは直接関係ないかもしれません。
しかし、その紙を媒体として使っているため、無視することはできません。水の高騰は必ず印刷においてリスクになります!!!それにより財務にはどのくらいの影響がでるのか、、、。
それを気温上昇が2度の世界、4度の世界でシナリオ別に分けてリスクを評価していかなければいけません😖💦
そもそもTCFDは「リーマンショックで経験した世界経済混乱がこの気候変動によっても、
もたらされるのではないか!?」と危惧され、気候関連の情報開示及び金融機関の対応について検討するために設立されたものです。
つまり、市場の透明性向上 が目的です。
投資家と企業の情報の非対称性を無くし、リスクと機会がより正確に評価され、資本のより良い配分に繋げていくことが可能になります!!!
実際に投資家の脱炭素への意識が高まってきています。
2023年3月31日時点で5,391機関の署名が集まっており、10%以上年々増加している事から、今後もPRIに賛同する投資機関は増えていくことが予想されます!
そして、世界のESG投資額は30.3兆ドルに達しています!!!また、国内のESG投資額も年々増加しています💡
現在では、日本を含む各国政府がTCFDに沿った開示ルールを策定しており、TCFDは気候変動開示において中心的な役割を果たしています !!!
→世界全体でのTCFDへの賛同数:4149(2023年1月時点)
特に日本では「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく」開示がプライム市場上場企業に求められたこともあり、日本のTCFD賛同機関数は2023年1月時点で 1,202機関 に上りました!!!
この数は世界第一位におよびます!
そして現在、世界中の企業の統合報告書などに、「ガバナンス」「戦略」「リスクマネジメント」「指標と目標」からなるTCFD開示が含まれるようになってきています。
TCFDを活用した経営戦略のススメEU:
2023年1月以降、段階的にTCFD提言に沿った気候変動リスクを含むESGリスクの情報開示義務づけ
フランス:
気候関連の情報開示を義務化、TCFD提言や生物多様性との連動の義務化も進んでいる
ブラジル・シンガポール他:
TCFD提言に準拠した気候情報開示を義務化/義務化検討中
(2023年1月時点)
また、各国政府だけでなく、開示フレームワークであるCDPも2018年以降の気候変動の質問書においてTCFD提言に対応した質問に関する回答を企業に要求しています。
https://earthene.com/media/210CDPとは
気候変動に関するもっとも有名なNGOの一つです。CDPは人々と地球にとって、健全で豊かな経済を保つことを目的に,企業や自治体に対して環境に対する情報開示を促します.CDPが集めた情報は世界中の投資家や企業、政策決定者の意思決定に大きな影響を与えています。
TCFD提言への賛同は任意ですが、もうすでに日本でも、大企業においては義務化されて始めているため
中小企業だから対応できない、関係ない💦 と言っている時間はなさそうです、、、
今回は、TCFD提言で開示すべき内容・重要視されている理由・そして現状を簡単にまとめました!
気候変動問題に関しては、重要度は認識していても難しかったり、コストが掛かりすぎたりしてなかなか手が出せない、、、。という企業もあると思います。
ただ、だからといってそこで立ち止まるのではなく「出来ることから行ってみる」というのが大事だと思っています!実際に、このTCFD提言でも1つの項目のみから開示することが認められています!
私も今後のグーフにとって、プリンティングにとってリスク・機会となり得るものにはどんなものがあるだろう、、、🧐
ここに興味を示し、調べてみる事から始めてみようと思います!!!